Q&A

Q.浄土真宗にも宗派が色々あるのですか?

 

A.現在、浄土真宗の宗派は、「真宗教団連合」に所属しているもので10の宗派があります。

宗派名本山
真宗興正派【しんしゅうこうしょうは】興正寺【こうしょうじ】〔京都市〕
浄土真宗本願寺派【じょうどしんしゅうほんがんじは】本願寺【ほんがんじ】(西本願寺)〔京都市〕
真宗大谷派【しんしゅうおおたには】真宗本廟【しんしゅうほんびょう】(東本願寺)〔京都市〕
真宗佛光寺派【しんしゅうぶっこうじは】佛光寺【ぶっこうじ】〔京都市〕
真宗高田派【しんしゅうたかだは】専修寺【せんじゅじ】〔三重県津市〕
真宗木辺派【しんしゅうきべは】錦織寺【きんしょくじ】〔滋賀県野洲市〕
真宗出雲寺派【しんしゅういずもじは】毫摂寺【ごうしょうじ】〔福井県越前市〕
真宗誠照寺派【しんしゅうじょうしょうじは】誠照寺【じょうしょうじ】〔福井県鯖江市〕
真宗三門徒派【しんしゅうさんもんとは】専照寺【せんしょうじ】〔福井市〕
真宗山元派【しんしゅうやまもとは】證誠寺【しょうじょうじ】〔福井県鯖江市〕

 その成り立ちや歴史は違いますが、同じく親鸞聖人を宗祖と仰ぎ、阿弥陀如来をご本尊とする浄土真宗の宗派です。

 私たちが所属する宗派はこの中の真宗興正派です。

Q 浄土真宗のお経は何ですか?   

A.
  • 『仏説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)』
  • 『仏説観無量寿経(ぶっせつかんむりょうじゅきょう)』
  • 『仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)』

お経というのは、お釈迦さまのご説法を後の時代に文字にまとめたものです。お釈迦さまは人の能力や性格、悩みに応じてご説法されました。ですから「八万四千の法門」とも言われるように、その数は膨大なものになります。その中で私たち浄土真宗の拠り所となるお経は次の三です。

・『仏説無量寿経(大経)』

・『仏説観無量寿経(観経)』

・『仏説阿弥陀経(小経)』

この三つのお経を総称して「浄土三部経」といいます。

お経というのは仏説であり、そのどれもが真実の教えです。しかし親鸞聖人は「今」という時代を生きる私たちに応じたお経として「浄土三部経」を選びとってくださったのです。

Q.「正信偈(しょうしんげ)」はお経ではないのですか?           

A.正確にはお経ではありませんが、お経と同じく大切な聖教です。

「正信偈」というのは親鸞聖人がお書きになられた偈(うた)です。お経はお釈迦さまのご説法を文字にしたものですから、親鸞聖人がお書きになられた「正信偈」は、正確にいうならばお経ではありません。しかし「正信偈」は親鸞聖人が「浄土三部経」のこころをあらわされたものですので、私たちはお経と同じように大切にしているのです。

浄土真宗では日常のおつとめとして、この「正信偈」がおつとめされることが多いですが、『仏説無量寿経』の中にある「讃仏偈」や「重誓偈」をおつとめするのもいいでしょう。

Q.お焼香にはどのような意味があるのですか?        

A.豊かな心でお経をいただく意味があります。

お焼香の由来には諸説ありますが、一説にはお釈迦さまのご説法を聴く前に香を焚いて体と心を清らかにしたのが始まりとされています。現代においても、お経をいただく時にお焼香をするのは同じ意味でしょう。また浄土真宗では、香りや煙が隅々までゆきわたり、しみこんでいく様子が阿弥陀如来のはたらきを表しているとも説明されます。

いずれにせよ、お焼香は亡き人のための追善供養のために行うものではありません。私たち自身が香を薫ずることによって、豊かな心で仏法を聴かせていただくということが肝要です。

宗派によってお焼香の作法は違いますが、興正派では次のように定められています。

  • 焼香卓(しょうこうじょく)の前で一揖(いちゆう)の後、一歩進んで座る
  • 香をつまんで二回焼香する(額に押しいただかない)
  • 合掌・礼拝する
  • 起立して一歩後退し、一揖の後、自分の席に戻る

Q 線香は立てないのですか? 

A.立てずに寝かせるのが浄土真宗の作法です。

 宗派によって線香の作法は違いますが、浄土真宗では線香は立てずに寝かせるのが作法です。

 線香は江戸時代以降によく用いられるようになりましたが、それまでは抹香による燃香(焼香)が一般的でした。

浄土真宗では線香を使うようになっても、形は燃香に近いように、線香を香炉の大きさに合わせて適当な本数に折って、立てずに横に寝かせるのが作法です。

Q.赤いろうそくはいつ使うのですか?            

A.年忌法要や報恩講などの法要の時に用います。

ろうそくの火は仏さまの「光明」を表しています。「光明」は、迷いを打ち破る「智慧」、あるいは「慈悲」といった仏さまのはたらきを象徴しています。古来、仏教徒はこの光明を燈火・燈明をもって表してきたのです。

さて、このろうそく、色によって次のように使い分けられています。

  • 朱蝋(しゅろう):年忌法要、報恩講など
  • 白蝋(はくろう):一般の法要など
  • 金蝋(きんろう):仏前結婚式などの慶事(朱蝋を代用してもよい)
  • 銀蝋(ぎんろう):通夜、葬式、告別式など(白蝋を代用してもよい)

Q.数珠(じゅず)は何のためのものですか?

A.合掌する時に用いる大切な法具です。

数珠は昔はお念仏の回数などを数える道具として使われていました。ですから「数をかぞえる珠(たま)」という意味で「数珠」といいます。また、「お念仏する時に用いる珠」という意味で「念珠(ねんじゅ)」ともいいます。 浄土真宗ではお念仏の数にこだわりませんから、お念仏の回数を数えるために使われることはありませんが、合掌する時に用いる大切な法具とされています。

 この「数珠」には「双輪(そうりん)数珠」と「単輪(たんりん)数珠」があります。「双輪数珠」は僧侶が法式(ほっしき)や布教の時に用いるもので、108の珠でできています。この108というのは人間の煩悩の数を表すといわれています。一方、普段のおつとめの時や一般のご門徒が用いる「単輪数珠」は珠の数に制限はありませんが、108を基準に割り決めてつくられている場合が多いようです。たとえば108の半分の54珠、その半分の27珠、108にちなんだ18珠などがあります。珠の種類や房にも制限はありませんが、浄土真宗では「紐房」が好ましいとされています。

 お寺にお参りする時やお仏壇の前でお参りする時には数珠をかけるようにしましょう。そして大切な法具ですから、畳や床の上などに直接置かないようにしてください。

Q.お仏壇にお参りするときに鈴(リン)は何回たたけばいいですか?      

A.お経を読む時以外はたたく必要はありません。

鈴はお経を読む時に使用する道具です。お経の前後や区切りに合図として鳴らします。たたく場所や回数は決まっており、経本に書かれています。ですから、お経を読むときは経本に従ってたたいてください。お経を読まずに合掌・礼拝だけをする場合にはたたく必要はありません。

Q.浄土真宗ではなぜ「戒名」と言わずに「法名」と言うのですか? 

 

A.浄土真宗は戒律を守り抜く教えではないため「戒名」はいただきません。仏弟子とし   ての名「法名」をいただきます。

「戒名」は受戒した者に与えられる名前です。仏門に入った証であり、戒律を守るしるしとして与えられる名前です。(「戒」とは在家が守るべき自分を律する内面的な道徳規範、「律」とは僧侶が僧団で守るべき集団規則)

 しかし浄土真宗は在家仏教であり、「戒を守り抜くことのできない凡夫たる一切衆生は、阿弥陀如来の誓願によってのみ救われる」という立場から出家や受戒を行いません。しかし、仏弟子となった名告(なの)りとして「法名」を頂きます。「法名」は仏・法・僧の三宝に帰依し、仏弟子として生きていくことを誓い授かる名です。「法名」は通常、「釈○○」「釈尼○○」と、釈から続く二文字です。この「釈」というのはお釈迦さまの「釈」であり、お釈迦さまから一字を頂いて仏弟子となった証しです。

 「戒名」も「法名」も「亡くなった人に贈られる名前」という誤解がありますが、本来は生きているうちに頂くものです。「法名」は本山や別院で帰敬式を受ければ頂けます。

Q.お仏壇には何をお供えしたらいいですか? 

 

A.普段はお仏飯だけでも構いません。他に何かお供えする場合は、肉や魚などの生ものや臭いの強いものは避けた方がいいでしょう。お餅やお菓子や果物、乾物などが一般的です。

お供え物とは、仏さまやご先祖に食べてもらうためのものではありません。私たちが色んなおかげによって命を頂いている、その感謝のこころの表れがお供え物です。そしてお供え物の基本はお仏飯です。私たちの主食であるお米お供えすることで感謝のこころを表しているのです。 お仏飯は全てを兼ねますので日常のお供えはお仏飯だけでも構いませんが、お仏壇に供物台がある場合にはお餅やお菓子や果物、乾物などをお供えするとよいでしょう。もちろん他のお供え物をしてはダメということではありません。頂き物があったときなどは、まずはお仏壇にお供えしましょう。ただし肉や魚などの生ものや臭いの強いものは避けた方がいいでしょう。 また、浄土真宗ではあえてお水やお茶をお供えすることはありません。

Q.どんなお花をお供えしたらいいですか? 

 

A.お好きなお花で構いません。 ただ棘や悪臭のある花は避けた方がいいでしょう。

Q.お仏壇のお飾りを教えてください。

A.お仏壇の大きさや形にもよりますが、日常のお飾りの基本は以下の通りです。

お仏壇によっては必ずしもこの通りにはいかない場合もありますが、注意すべき点を次に示しておきましょう。
▽ 蝋燭・お花・お線香は経卓の上ではなく高卓の上。
▽ 蝋燭は向かって右側、お花は左側。
▽ 過去帳は真ん中ではなく向かって右側。
▽ 御勧章や鈴を経卓の上に置かない。

Q.お仏壇に写真を飾ってもいいですか?

A.お仏壇の中には写真を入れません。

お仏壇は仏さまをご安置する処で、ご家庭での礼拝生活の中心です。お寺の出張版と考えたらいいかもしれません。お寺では故人の写真ではなくて仏さまに礼拝しますね。お仏壇もそれと同じです。 写真を置きたい場合は、お仏壇の脇などに置くのがいいでしょう。

Q.お仏壇はどちら向きに置いたらいいですか?  

A.本来は西に向かって礼拝するように(ご本尊のお顔が東を向くように)ご安置するのが好ましいですが、建物の構造上、必ずしもその限りではありません。

Q.報恩講(ほうおんこう)とはなんですか?

A.宗祖 親鸞聖人のご命日をご縁とする法要です。

報恩講は親鸞聖人のご命日をご縁に、聖人のご苦労のおかげで私たちが今お念仏のみ教えに出遇えた、そのご恩に感謝する法要です。  親鸞聖人のご命日は弘長二年(1262)の11月28日です。本山では毎年11月21日から28日まで報恩講法要をおつとめします。一般寺院やご家庭でも、時期はさまざまですが、一番大切な法要としておつとめします。

Q.永代経(えいたいきょう)とはなんですか?

A.「お経を永代にわたって聞き伝えていく」ことを願って勤められる法要です。

「永代経」というのは「亡き人を永代に追善供養していく」という意味ではありません。浄土真宗の「永代経」というのは「永代読経(えいたいどきょう)」の略であり、「阿弥陀如来の本願が説かれたお経を、お寺で永代にわたって聞き伝えていく」ことを願って勤められる法要です。「亡き人のために勤める」のではなく、「すでに仏と成られた亡き人・ご先祖をご縁として、少しでも多くの方とともに阿弥陀如来の願いを聴かせていただこう、そしてともどもにお浄土への道を歩ませていただこう」ということが大切なことなのです。

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